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作業が捗る!クリエイティブワークが楽になる作業効率化「Tips」

2024.09.13 Fri

すぐに役立つ! 11月の施行前にクリエイターが知っておきたいフリーランス保護新法の基本知識

文・画像:塚本建未

フリーランス保護新法で知っておきたいポイント

続いて、フリーランス側の立場に立ってフリーランス保護新法の内容を確認してきたいと思います。フリーランス保護新法のすべてを把握することは大変ですので、ここではクリエイターの方が知っておきたいチェックポイントをピックアップして紹介します。

(筆者は法律の専門家ではありませんので、認識等が十分でない部分もあるかもしれません。条項の内容についてはご自身でも目を通して確認し、企業の方は法務部や顧問弁護士等にも確認してもらうようにしておきましょう。)

フリーランス保護新法に盛り込まれた義務項目

書面などによる取引条件の明示
フリーランス保護新法では、業務を発注する際に「書面での契約内容の明示」「契約内容の明確化」「募集情報の的確な表示」などが義務付けられています。業務内容、報酬額、支払期日などの取引内容をメールや契約書などの書面に明確に記載して発注しなければいけなくなるので、電話や対面など口頭で発注するといった商習慣は改める必要があります。また、納品物ごとの発注が必要になりますので、継続案件でも、その都度発注書の発行が必要になります。

報酬支払期日の設定・期日内の支払い
フリーランス保護新法では、報酬の支払期日は納品日から数えて60日以内と定められています。また、発注の際に設定した支払い期日を守るという義務もあります。下請法では以前から同様の義務が設けられていましたが、資本金1,000万円以上の企業を対象としていました。これが、すべての発注者に適応されることになります。なにをもって納品完了とするかについては、業種によっても異なると思いますが、請求書で良く用いられるその月に発注した依頼分をまとめて「月末締め」「25日締め」のように締日を納品の起点と考える支払い方法は、注意が必要です。「納品締日の翌月末に入金」の場合は、現行のままでも60日以内に収まると思いますが、個々の納品日を明記するといったように発注書や請求書の表記に関して見直す必要が出てくるでしょう。また、個々の商品・サービスが納品された日付から数えて60日以内となりますので、「納品締日の翌々月末に入金」といった支払期日は、この規定に抵触する可能性が高いです。こちらは、支払期日の設定自体を見直す必要があります。

7つの禁止行為
フリーランスに対して1ヵ月以上の業務を委託している場合は、以下の表にある7つの行為が禁止されています。また、1ヵ月以上という条件が設定されていますが、もちろんこれらの行為は1ヵ月未満の依頼でも推奨されるものではありません。1ヵ月未満の場合は罰則が発生しないだけですので注意しましょう。

禁止行為説明
受領拒否注文した商品・サービスの受領を拒むこと
報酬の減額発注の際に定めた報酬額を減額すること
返品受け取った商品・サービスを報酬を支払わずに返品・返却すること
買いたたき類似の商品・サービスなどと比較して、著しく低い報酬を設定すること
購入・利用強制指定する商品・サービス、役務などを強制的に購入・利用させること
不当な経済上の利益の提供要請金銭、労務の提供などをさせること
不当な給付内容の変更・やり直し費用を負担せずに注文内容を変更すること・受領後にやり直しをさせること

募集情報の的確表示
フリーランスの募集・求人情報を発信する際には、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはいけないという規定です。また、募集情報を正確かつ最新の内容に保たなければいけません。

育児介護等と業務の両立に対する配慮
フリーランスに対して6ヵ月以上の業務を委託している場合は、フリーランス側からの申し出に応じて、業務受託者が出産・育児、介護などと業務を両立できるように配慮する必要があります。

ハラスメント対策に関する体制整備
フリーランス保護新法には、フリーランスが業務においてハラスメントを受けないようにするための規定も盛り込まれています。フリーランスは立場も弱いので、実際には報告されている件数よりも多くハラスメントが発生していると推測されます。パワハラ、セクハラといったハラスメントはもちろんのこと、⑥と関連してマタハラ(妊娠・出産などに関するハラスメント)なども対象になります。

中途解除等の事前予告・理由の開示
これは「中途解除する少なくとも30日前に通告する・フリーランスが解除の理由を請求した場合は開示する」といった内容で、労働契約と同等の措置となります。

対象となる範囲

対応が必要な範囲(画像引用:フリーランス・事業者間取引適正化等法の特設サイト

フリーランス保護法は発注事業者の事業規模や業務委託期間によって義務の内容が異なります。具体的には「従業員を使用している・していない」「フリーランスへの業務委託期間1ヵ月未満・1ヵ月以上」「フリーランスへの業務委託期間6ヵ月未満・6ヵ月以上」によって対応が必要な義務項目が変わってきます。下の表で、対応が必要な義務項目を番号でチェックできますので参考にしてください。

条件によって異なる対応が必要な義務項目

従業員の有無と委託期間対応が必要な義務項目
従業員がおらず1ヵ月以内の委託期間
従業員を使用しており1ヵ月以内の委託期間①②④⑥
従業員を使用しており1ヵ月以上の委託期間①②③④⑥
従業員を使用しており6ヵ月以上の委託期間①②③④⑤⑥⑦

注意が必要なのは、①に関しては従業員を使用していないフリーランス・個人事業主が、他のクリエイターに発注する際も適用される点です。フリーランサーも委託される側としてだけでなく委託する側としての準備も必要になってくることは、しっかりと認識しておきましょう。

塚本 建未
ライター・編集者・イラストレーター
フリーランスのライター・編集者・イラストレーター。高校はデザイン科を卒業し、大学は、文学部とスポーツ科学部の2つの学部を卒業。フィットネス・トレーニング関連の専門誌で編集者・ライターとしてキャリアを積む。メインの活動の場をWebメディアに移行してからは、ITツール紹介やWebマーケティング分野などを得意領域として活動を続けている。
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