皆さんは一日をどんなふうに過ごしていますか? 毎朝ギリギリ起床、朝食から冷たい飲み物をゴクゴク、デスクワークで座りっぱなし、ベッドでスマホを触ってついつい夜更かし……。そんな日常のあるあるを、鍼灸院「アキュサリュート高輪」の院長・瀬尾港二先生がチェック。何気なくしているNG習慣を東洋医学の観点から見直し。連載のキャラクター・みみちゃんの一日のスケジュールをもとに、これまで連載で紹介してきたお悩み解決術を活かした、理想的な一日の過ごし方を教えてもらいます。イラストはお笑いコンビ蛙亭の中野周平さんです。
連載でお届けするのは今回がラスト。ぜひこの記事を参考に健康的な生活を実践してみてください!
8:20〜9:00 起床、朝食、会社へ向かう準備
■起床
みみちゃん 9時までに家を出れば間に合うのでぎりぎりまで寝ていたい。
瀬尾 陰から陽への切り替わりの時間である、日の出時刻の起床が理想。そのためには、就寝時刻を早めにしなくてはなりません。起きたら、太陽からエネルギーを吸収する気功「循環気功」をやりましょう。しかし、仕事の都合などで、日の出時刻に起床するのは難しい人も多いでしょう。毎日は無理でも、休日には実践してみてください。日の出時刻が無理だったとしても、太陽がまだ高い位置に上る前に起きるのが望ましいです。精神の安定や睡眠にも影響するセロトニンを増やすためにも太陽の光は大事です。
循環気功のやり方はこちらから
■朝食
みみちゃん 健康によさそうなので、スムージー(冷たい)を飲む。
瀬尾 野菜や果物は、涼性で身体を冷やすものが多いです。生姜やシナモンといった温性の食材を加えるといいでしょう。冷たい飲み物は、免疫や消化に関わる肺や脾を直接冷やして傷めるので、なるべく温かくして飲んでください。
■会社へ向かう準備
みみちゃん 急いで支度をして家を出る。
瀬尾 あせると気が昇ってしまいます。時間には余裕を持ちましょう。
9:00〜10:00 通勤、会社に到着
みみちゃん 階段は上り下りしたくないので、基本はエスカレーターを使う。電車ではずっとスマホを見ている。
瀬尾 階段の上り下りは、筋肉をつけるためにも非常にいいです。エスカレーターやエレベーターを使うときは、膝と膝をぎゅーっとくっつけてください。内転筋を鍛えることになります。内転筋が弱ると骨盤底筋とも関与し、尿漏れにもつながるし、将来膝関節変形症になる可能性が高まってしまいます。信号待ちの時間にも有効です。
歩くときは、つま先をまっすぐにしましょう。つま先を外向きに開いて歩いていると、大腿外側ばかり発達してバランスが悪くなり、膝関節変形症につながってしまいます。
スマホを見るなら、首はまっすぐ顔も正面を。下を向かないようにしてください。
10:00〜13:00 午前の仕事
みみちゃん 昼食になるまでは、デスクに向かいっぱなし。たまにトイレすら我慢してしまう……。
瀬尾 コリの原因は、同じ姿勢、同じ動きの繰り返しです。30分に1回は立って首・肩・腰を動かしましょう。スワイショウが効果的です。トイレは我慢せず、積極的に行くようにしましょう。
スワイショウのやり方はこちらから
13:00〜14:00 昼食
みみちゃん 健康を意識して、コンビニでサラダを買って食べる。
瀬尾 先ほどもお伝えしたとおり、野菜は身体を冷やすものが多いです。サラダなら、温性のかぼちゃや、玉ねぎをスライスしたものも食べましょう。気血を補うささみも一緒に食べるのがいいですね。
14:00〜19:00 午後の仕事
みみちゃん 急に振られた仕事にイライラしてしまう。時間が経っていくと集中力も切れてくる。
瀬尾 まず、イライラを取る効能のあるマイカイカ茶で落ち着きましょう。夏ならミントティーもいいです。足裏のツボ押しは手軽にできるのでおすすめ。トイレのついでに、ツボを刺激してストレス解消を。
おすすめのお茶、足裏のツボ押しのやり方はこちらから
19:00〜20:30 残業
みみちゃん 定時は19:00だけれど、先ほど急に振られた仕事のせいで1時間半残業。なんで定時に終わらせられなかったのかと自分を責めてしまい、イライラのピーク。
瀬尾 3分間スワイショウをして、ストレスを軽減させましょう。
20:30〜21:30 遅い夕食
みみちゃん 同僚に誘われ、激辛フードを食べに行く。たくさん食べてストレス発散!
瀬尾 頭の使い過ぎで、気が昇っている状態です。辛い物を食べては、ますます気が昇ってしまいます。野菜のサラダ、主食であれば蕎麦がおすすめ。
食事は腹六分がおすすめ。記事はこちらから
22:30〜23:30 帰宅、お風呂に入る
みみちゃん やっと帰宅。とりあえずお風呂に入ってリラックス。
瀬尾 好きなアロマオイルを使って、下半身浴するのがいいでしょう。香りには精神をリラックスさせてくれる効果があります。
23:30〜25:30 テレビ鑑賞、就寝
みみちゃん ドラマ観たり、スマホ見たり、だらだら過ごしてついつい夜更かししてしまう。
瀬尾 就寝前は、目や頭を使わないようにし、なるべく脳への刺激を減らしましょう。リラックスする音楽を聴きながら、むくんだ脚のマッサージを。また、気を降ろすことで深い眠りに。
10カ月にわたり、ご愛読いただきありがとうございました。今後は不定期で更新予定です。ぜひ東洋医学を取り入れて、デスクワークでの疲れやストレスをケアしてください。
- 瀬尾港二
- アキュサリュート高輪院長
- 1960年宮崎生まれ。ICU理学科卒業後、北京中医学院(現北京中医薬大学)針灸推拿学部に入学。在学中から気功や武術の大家に師事。92年卒業。2010年にアキュサリュート高輪を開設。一般社団法人日本中医薬学会理事・事務局長、神奈川衛生学園専門学校非常勤講師。著書に「図解 よくわかる東洋医学―漢方薬・ツボ・食事、3つの養生法で治す」「家庭でできる漢方〈4〉不眠症―原因・タイプ別 眠れるからだに体質改善!」など。
2024.08.23 Fri