近頃ニュースでも取り上げられることのある「突発性難聴」。突発とは言うものの、耳鳴りや耳が聞こえにくくなるなどの前兆も見られます。身体からのサインを見つけたら、早めのケアが肝心。そこで、鍼灸院「アキュサリュート高輪」の院長・瀬尾港二先生に、東洋医学的なケア方法を教えてもらいました。イラストはお笑いコンビ蛙亭の中野周平さんです。
ストレスが原因?「突発性難聴」に要注意
瀬尾 耳が聞こえにくくなり、耳鳴りやめまいを伴う「突発性難聴」。ストレスや過労、睡眠不足、糖尿などが一因とされていますが、はっきりとした原因はまだ明らかになっていません。私がこれまで鍼灸院で診察をしてきた経験上、突発性難聴が起きる前駆症状として、以下の症状などが見られます。
■耳周辺のこりがひどい
■耳鳴りがする(キーンという音)
■耳が時々詰まるような感覚(飛行機に乗った時のような聞こえにくさ)
「突発」と名付けられているものの、実は急に発生するわけではないので、この前駆症状のうちにケアをしておくことが大切です。
ストレスでなぜ耳が詰まる……?
瀬尾 五臓六腑の中で、ストレスを調節する機能の「疏泄(そせつ)作用」を持つのが「肝」。気の流れや感情、消化を助ける働きを持っています。ストレスが強く、肝を使い過ぎていると気の流れも悪くなってしまいます。
肝と胆は関係が深いので、胆経の気も滞ります。そして、耳は胆経の通り道。耳以外にも、頭痛や顎関節症など、身体の横のラインに不調が出やすいと考えられます。
ストレスを溜めないことも大切ですが、あわせて、首の横のラインや耳の下のこりに特に気を付けるようにしましょう。
耳周りの不調をチェック
瀬尾 耳の不調は、耳たぶの裏側にあるくぼみ「翳風(えいふう)」のツボを押すことでチェックしてみましょう。特に右側に痛みが出やすいです。
耳周り&ストレスのケア方法
瀬尾 さらに、押した時の痛みで不調の診断もでき、治療としても効果的なツボをご紹介します。これらのツボに鍼やお灸をするのもおすすめです。
足臨泣(あしりんきゅう)
胆経のツボ。足の甲の薬指と小指の骨の間にあるくぼみの部分。 |
中渚(ちゅうしょ)
三焦経(さんしょうけい)のツボ。手の甲の薬指と小指の骨の間にあり、手を握った時のくぼみの部分。 |
耳周りのツボ
このほか、耳の前方にある3つのツボ、耳門(じもん)・聴宮(ちょうきゅう)・聴会(ちょうえ)を刺激するのもおすすめ。 |
手軽にできるタッピングケア
翳風に親指が当たる位置で耳を畳むようにして手で塞ぎ、指先で後頭部をタッピング。叩く刺激だけでなく、音による刺激も効果的。 |
耳周りのセルフケア方法でした。ストレス解消には、陽陵泉と太衝のツボもチェックしてみましょう!
陽陵泉と太衝の位置はこちらから!
- 瀬尾港二
- アキュサリュート高輪院長
- 1960年宮崎生まれ。ICU理学科卒業後、北京中医学院(現北京中医薬大学)針灸推拿学部に入学。在学中から気功や武術の大家に師事。92年卒業。2010年にアキュサリュート高輪を開設。一般社団法人日本中医薬学会理事・事務局長、神奈川衛生学園専門学校非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。著書に「図解 よくわかる東洋医学―漢方薬・ツボ・食事、3つの養生法で治す」「家庭でできる漢方〈4〉不眠症―原因・タイプ別 眠れるからだに体質改善!」など。
2024.06.21 Fri