夜、スマホで音楽を聴いているうちに寝落ちした経験は多くの人にあることでしょう。もっとも寝返りを打ってイヤホンが耳に押し込まれる痛みで目が覚めたり、あるいは就寝はできたものの起床したらイヤホンがどこかに行ってしまっていたという人も多いのではないでしょうか。
こうした「寝落ち」をあらかじめ想定した、就寝時の利用に特化したワイヤレスイヤホンが、今回紹介する”寝ホン”こと「1MORE ComfoBudsZ」です。
この製品、見た目は一般的な完全ワイヤレスイヤホンと変わりません。スマホなどとBluetoothで接続することはもちろん、充電器を兼ねたケースが付属する点など、市販の完全ワイヤレスイヤホンと同じです。
そんな本製品の特徴は、装着したまま就寝しても差し支えがないよう、極めて薄型に作られていることです。写真ではなかなか伝わりにくいのですが、ボディの厚みは実測8.8mmしかなく、丸くコロンとした形状が多い一般的な完全ワイヤレスイヤホンとは一線を画しています。
実際に装着しても、耳たぶよりも背が低いことから、横を向いて寝転がっても、イヤホンが耳の中に押し込まれる感覚が(さすがに皆無とまでは言いませんが)控えめです。また寝返りを打った時に起こる枕と擦れ合う音が、一般的な完全ワイヤレスイヤホンと比べると、大幅に軽減されています。
さらにこれに加えて、多くの完全ワイヤレスイヤホンに搭載されている、バッテリー切れを知らせる通知音がないため、音量を小さくして聴いている時に突然大きなアラートを鳴らされてびっくりすることがありません。こうした仕様も、就寝時の利用を想定した本製品ならではです。
一般的な完全ワイヤレスイヤホンと異なるもうひとつの特徴として、リモコン機能がないことが挙げられます。イヤホン側面をタップしたり、長押しすることで再生/一時停止や早送り、さらには音声アシスタントの呼び出しなど、一般的な完全ワイヤレスイヤホンはスマホに触れずに主な操作が行なえますが、本製品にはそれらの機能はなく、操作はすべてスマホ側で行うことになります。
これはボディの薄型化を突き詰めたことの代償と捉えることもできますが、寝ている時にうっかり側面に触れてしまい意図しない動きをするようでは、おちおち使っていられません。そうした意味では、敢えてリモコン機能を省いているのは、利用目的にきちんとマッチしています。同様にマイクも非搭載で、通話にも対応していません。
さらに専用アプリ「1MORE MUSIC」は、雨音や焚き火の音といった環境音を内蔵しており、アプリ単体でこれらの再生が行えるのも特徴です。このアプリでは音量を標準よりもさらに小さい、段階でいうと「1」と「0」の間に設定できますので、より静かに環境音を流しておきたい場合に向いています。タイマー機能も搭載するほか、片耳だけで使えるのも、便利なポイントと言えるでしょう。
その一方で、明らかに薄さと軽さを優先して省かれたとみられる機能もあります。具体的にはノイズを打ち消すアクティブノイズキャンセリング機能がそれです。機能が充実した他製品に慣れた人が本製品に乗り換えた場合、物足りなく感じる可能性はあります。
また音質自体も、2~3万円クラスの完全ワイヤレスイヤホンに比べると平凡で、それほど特徴があるわけではありません。さらにバッテリー駆動時間は約2.5時間と決して長くなく、入眠用としては問題なく使えても、終日の利用にはやや力不足です。
こうしたことから本製品は、通勤通学にあたって屋外で使うのではなく、すでにそうした用途で使う完全ワイヤレスイヤホンを所有している人が、就寝時にのみ使う2台目としての役割が向いているといえます。この点さえ間違えなければ、買って満足できる製品と言えそうです。
なお本製品には「ComfoBuds Mini」という姉妹モデルがあり、こちらはマイクやアクティブノイズキャンセリング、さらにタッチ操作によるリモコン機能が搭載されています。そのぶんサイズがひとまわり大きくなりますが、機能性も求める人は、こちらの製品もチェックすることをおすすめします。
- DATA
製品名:1MORE ComfoBudsZ
実売価格:9,990円
発売元:1MORE
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B099ZGRYDY/
2022.10.04 Tue