ディスプレイボードを使うと、デスク周りがスッキリ片付いて見える理由とは?~キングジム「DB-200」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
かつてPCのディスプレイが液晶ではなくCRTだった頃は、どこのオフィスにも、ディスプレイの上部を書類の置き場所にしている人がいたものです。CRT上部は熱を持つので本当は書類などを置くのは望ましくないのですが、すでにデスク上に書類やファイルが大量に積まれていて新規の置き場所がない人にとっては、面積が広いCRTの上部は、絶好の置き場所にほかならなかったというわけです。
それからおよそ20年、CRTが姿を消したことでこうした光景はオフィスで見られなくなりましたが、同様のニーズを狙ってか、小物から書類に至るまで、さまざまなモノを置きやすくするためのディスプレイ取付用オプションが登場し、取り扱うメーカーもじわじわと増えつつあります。今回紹介するキングジムのディスプレイボード「DB-200」もそのひとつです。
つまりデスク上にさまざまなモノがあふれている人にとっては、置き場所をディスプレイ上部に移動させるだけで、トータルでの荷物の量が変わらなくとも、奥行きが見えないぶん、片付いて見えるように感じられるというわけです。立ち上がって上から見下ろすとその魔法が解けてしまうわけですが、デスクの前に座った際に、荷物の多さにイライラさせられている人にとっては、気を紛らせるのに少なからず効果があります。まあ、根本的に片付けろと言われるとそれまでなのですが……。
設置方法は、トレイ手前の段差をディスプレイの上部にひっかけるだけ。トレイの角度は背面のアームで調整するので、ディスプレイの角度に合わせてフラットにすることができます。左右のアームは独立して可動するので、ディスプレイ背面に段差があっても個別に調整できます。ディスプレイの上部5mmほどが段差に覆われるため、狭額縁のディスプレイだと画面の一部が隠れる可能性がありますが、たいていは大丈夫でしょう。
同種の製品は、粘着テープで貼り付ける構造のものもありますが、本製品は単に載せているだけなので、左右の位置を調整したり、取り外すのも自在です。素材もABSで160gと軽いので、金属製のモデルと違ってディスプレイにキズをつける心配も低そうです。ただしディスプレイに外部から衝撃が加わると、このボード自体が外れて落下することは大いに考えられます。その点は考慮しておくべきでしょう。
一方でなるべく避けたいのは、スピーカーのように背が高いアイテムです。これは安定性の問題もありますが、ディスプレイの上に置くことでかえってその存在が目立つようになり、デスク周りをすっきり見せる目的に逆行するからです。また配線が必要なアイテムは、万一落下すると断線などのトラブルもあるので、あまりやらないほうがいいのかなと思います。500gまでという本製品の耐荷重が、ネックになることもあるでしょう。
またこれとは逆に、あまりに平坦なモノ、例えば処理待ちの書類などを置くと、その存在が見えなくなってしまい、立ち上がるまで気づかないという危険があります。このあたりのさじ加減は、少々難しいところです。逆に、一旦置いてしまうと手元から見えにくくなることを利用して、作業に集中したいときにスマホを疎開させるなどの用途は適しているかもしれません。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2019.03.05 Tue