【7】<Event Area>滋賀県・大津市
「炭酸デザイン室展-ロータスの森-」
~1つ1つに物語が込められたテキスタイル製品の展示販売~
企業向けのデザイン提供やコラボを展開しながら、自社のテキスタイルブランド「TANSAN TEXTILE」の企画デザイン・運営も手掛ける炭酸デザイン室の個展です。炭酸デザイン室は、2014年に水野智章氏と水野若菜氏によって設立されました。2人はともに東京造形大学卒で、現在は琵琶湖に近い滋賀県大津市に拠点を置いて活動しています。
炭酸デザイン室の活動は、2025年で11年目を迎えました。日々の暮らしの中にある小さな輝きを感じながら生み出されている鮮やかなテキスタイルが魅力です。「日常の記憶」がプロダクトに落とし込まれています。
今回の個展の会場では、「TANSAN TEXTILE」の製品やファブリックをはじめ、各種のコラボアイテムなどが登場します。新作の柄「ロータスの森」には、ちょうどこの時期の日本で「植物が最も喜ぶ季節」が描かれ、そのほかのテキスタイルにも1つ1つに物語が込められています。
コラボ製品の展示販売では、ラグ専門店「Layout」とコラボしたイラン製敷物「TANSAN GABBEH」、西陣岡本とフジエテキスタイルとの協業で生まれたテキスタイルアート「光る山」、Stackstoとのコラボ収納用品「Baquet」、富士吉田の舟久保織物とのコラボ傘などに注目です。さらに会場の一部では、立命館大学生存学研究所とJSSJ(ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン)との車椅子のプロジェクトの展示も繰り広げられます。
| 期間 | 2025年7月12日(土)~7月27日(日) |
| 開催場所 | gallery サラ 滋賀県大津市北比良1043-40 |
| URL | https://tansandesign.jp/ |
【8】<Event Area>東京都・台東区
「氷河期展 ~人類が見た4万年前の世界~」
~ネアンデルタール人とクロマニョン人の頭骨も日本初上陸~
マンモスなどの巨大な動物たちが生きていた4万年前の氷河期をテーマにしている特別展です。絶滅した動物の骨格標本や生体復元模型、考古資料の展示などを通じて、氷河期をともに生きた動物たちや人類について解説され、氷河期の謎に迫っています。総合監修を務めているのは、国立科学博物館長の篠田謙一氏です。
会場での展示は、第1章「氷河期 ヨーロッパの動物」、第2章「ネアンデルタール人とクロマニョン人」、第3章「氷河期の日本列島」という3つの章で構成されています。特に、ネアンデルタール人とクロマニョン人(ホモ・サピエンス)の実物の頭骨が日本に初上陸することが話題です。
ネアンデルタール人はがっしりした体格と強靭な筋肉を持っていたのに対し、クロマニョン人は比較的に細い体格で長い手足を持っていました。両者は同じ時代を生きていましたが、4万年前までにネアンデルタール人は姿を消します。いったい何が両者の命運を分けたのかを探る展示に注目です。
会期中の8月8日(金)〜8月17日(日)と10月10日(金)〜10月13日(月・祝)には、夜間開館の実施も決定しました。通常は17:00の閉館が上記の期間中には19:00まで延び、お盆の期間や連休に涼しい夜の博物館で氷河期の世界をゆっくり楽しむことができます。
| 期間 | 2025年7月12日(土)~10月13日(月・祝) |
| 開催場所 | 国立科学博物館 東京都台東区上野公園7-20 |
| URL | https://hyogakiten.jp/ |
【9】<Event Area>東京都・中央区
「2025 JAGDA 亀倉雄策賞・新人賞展」
~毎年恒例のグラフィックデザイン賞の受賞記念展~
公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)が主催する「亀倉雄策賞」と「JAGDA新人賞」の受賞記念展です。これらの賞は、年鑑「Graphic Design in Japan」への出品作品の中から毎年選出されています。
「亀倉雄策賞」は最も優れた作品とその制作者に贈られる賞で、第27回の受賞作品は林規章氏による教育機関の学生募集ポスター「女子美術大学大学院/3年次編入/短大専攻科 学生募集」に決まりました。20年前から毎年制作されているポスターシリーズの最新作です。
JOSHIBIの「J」の形をモチーフとした表現が展開され、女子美という軸を持ちながらのシンボリックな抽象性や毎年の新鮮さが高く評価されました。今回の展覧会では、会場1Fで林規章氏の作品が展示されます。
「JAGDA新人賞」は、今後の活躍が期待される有望な39歳以下のグラフィックデザイナーに贈られている賞です。1983年以来、これまで128名のデザイナーを輩出し、デザイナーの登竜門としても知られています。43回目となる2025年度は、城﨑哲郎氏、サリーン・チェン氏、松田洋和氏が受賞を果たしました。今回の展覧会では会場の地階にて、3名の受賞作品と近作が紹介されます。
教育機関の学生募集ポスター「女子美術大学大学院/3年次編入/短大専攻科 学生募集」女子美術大学
| 期間 | 2025年7月15日(火)~8月27日(水) |
| 開催場所 | ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg) 東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル |
| URL | https://www.dnpfcp.jp/gallery/ggg/ |
【10】<Event Area>東京都・港区
「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」
~ムーミン小説の出版80周年を記念した展覧会~
2025年がムーミン小説の出版80周年にあたることを記念し、フィンランドのヘルシンキ市立美術館(HAM)の協力のもとで開催される展覧会です。森アーツセンターギャラリーでの開催を皮切りに、全国巡回が予定されています。
本展は、ムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソン氏(1914〜2001年)の創作世界と、ムーミンシリーズの魅力に迫る内容です。トーベ・ヤンソン氏の初期の油絵や第二次世界大戦前後の風刺画、ムーミン小説・コミックスの原画やスケッチ、愛用品など約300点が展示され、彼女の人生が色濃く反映されたムーミンシリーズにもスポットを当てています。
ムーミンシリーズには個性的なキャラクターたちが登場し、ファンの共感を呼ぶ多様性や寛容性にあふれた物語が魅力です。本展では、小説やコミックスの原画やスケッチ、可愛いキャラクターのイラストなどが紹介され、ムーミンの世界を体感できるような演出も楽しむことができます。
さらに、日本ではあまり知られていないトーベ・ヤンソン氏の壁画も映像で紹介される予定です。フィンランド・コトカ市の保育園のために制作された約7m幅の「フェアリーテイル・パノラマ」には、ムーミンキャラクターや想像上の生き物たちが色鮮やかに描かれています。作者の豊かな創作の世界を隅々まで堪能できる展覧会です。
| 期間 | 2025年7月16日(水)~9月17日(水) |
| 開催場所 | 森アーツセンターギャラリー 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52F |
| URL | https://tove-moomins.exhibit.jp/ |
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今回の記事では、2025年の夏休みに開催されている注目の展覧会&アート系イベントの中から、前編として10企画を紹介しました。気軽に立ち寄ることができる展示から、じっくり堪能したい大型企画まで、今年の夏ならではの旬のラインナップが揃っています。続く後編でも、さらに魅力的なイベントを紹介していきますのでお楽しみに!
※〈後編はこちら〉
2025.07.09 Wed2025.07.17 Thu