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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2023.01.24 Tue

見た目はただの「箱」。手持ちのスマホから簡単作成できるBluetoothラベルライター「テプラ PRO」

文:山口真弘

専用のテープに文字を印刷してあちこちに貼り付けられるラベルライターは、もはやすっかりおなじみの存在。ファイルなどのラベル作成のために、常備しているオフィスも少なくないはずです。

もっともこうした手軽さの反面、小型のキーボードを備えたそのデザインはおもちゃライクで、デスク上などに置きっぱなしにしておくのはいまいち抵抗があるという人も多いのではないでしょうか。

最近はこうしたイメージを覆す、スタイリッシュなラベルライターが続々と登場しています。今回紹介する「テプラ PRO」(SR-MK1)もそのひとつです。

正面にあるのはテープが排出されるスロット
背面はACアダプタを接続するジャックだけ
500mlペットボトルとの比較。厚みはほぼ同じ
単三電池で駆動。別売のACアダプタも利用可能

本製品は、箱型のボディの背面に電源端子が付いているだけで、キーボードはもちろん、ボタンの類も一切ありません。外見だけではいったい何の製品なのか分からないほどです。

そんな本製品は、Bluetoothを使ってスマホと接続し、専用アプリからテキストを入力して、ラベルへのプリントを行います。本体だけでは操作は行えず、使い慣れたスマホを使ってテキスト入力をはじめとする操作を行うというのがコンセプトの製品です。

印刷したラベルは、本体正面にある細いスリットから排出されます。自動的にカットされますので、手で引っ張ってセロハンテープ台のようなギザギザの刃ででカットしたり、ハサミで毎回切る必要もありません。解像度は360dpiと高いことから、文字は非常になめらかで、ドットの粗さはまったく目に付きません。

排出されるラベル。自動カットに対応します
作成したラベル。最大印刷可能幅は18.1mm

この見た目であれば、家庭内はもちろんオフィスに置いてあっても、美観を損なうことはありません。小型のワープロのような、かつてのラベルライターを知っているユーザーからすると、そのスタイリッシュなたたずまいには驚かされます。

利用できるPROテープカートリッジは4、6、9、12、18、24mm。同時にセットできるテープは1種類で、本体を開けることで交換が可能です。駆動は単3電池×6で、底面にある電池ボックスに入れて使用します。ACアダプタ駆動にも対応しますが、こちらは別売ということもあり、基本的に電池駆動での利用になると考えておいたほうが良いでしょう。

テプラ用のさまざまなラベルが利用可能
電源は単三電池×6。そのため重量はややあります

さて、そんな当製品を使うにあたってネックとなるのは、本製品と組み合わせて使うスマホアプリ「Hello」です。当製品はモノクロ印刷ゆえ装飾をつけるにしても限度はあるわけですが、このアプリはそうしたテンプレートに注力しているせいで、シンプルなラベルをスピーディに作成しようとすると、新規作成画面にたどりつくのすら一苦労です。

また操作性もイマイチです。ラベルの定められた高さに任意のフォントサイズで文字を入力していくというごく基本的な操作も、PCなどとは違った独自の操作体系ゆえ、直感的に扱えません。特定の操作で決まってエラーが出るなど、アプリの完成度にも疑問符が付きます。

このほか、例えばテキストがラベルの最大幅を超えても、印刷画面で実行ボタンを押すまでその事実を知らせてくれず、かつラベル幅の延長も手動で行わなくてはならないなど、不親切な設計も目立ちます。アプリのレビューもこうした操作性への指摘で埋め尽くされており、ハードよりもソフト面が大きなネックになっていることがよくわかります。

アプリ「Hello」はお洒落なラベルデザインが多め
実用的なラベルもありますがひっそりと控えめ
見た目は普通ですが操作方法は独特すぎて戸惑うことも
ラベル保存時に必ずエラーが起こるなど完成度は低め

と、これだけならば、あまり積極的にオススメできない製品ということになりかねないのですが、本製品にはこうした問題を打開する方法があります。それは同社が新しくリリースした別のテプラ用スマホアプリを使うことです。

「TEPRA LINK 2」がそれで、シンプルな文字入力に適したDTPソフト似のインターフェイスを採用しており、前述の「Hello」とは打って変わって使い勝手は良好です。本製品の紹介ページでは「Hello」が大々的に紹介されているため目立たないのですが、実用性を重視すれば、この「TEPRA LINK 2」一択です。

別アプリ「TEPRA LINK 2」。使い勝手はこちらがはるかに上
操作性はDTPソフトに近く細かなレイアウト調整も可能
フォントも多数用意されており選ぶのに苦労するほど
ビジネス向けの実用的なテンプレートも揃っています
印刷回りの設定も直感的に行なえます
本製品回りの設定や再接続もわかりやすさは十分

この「TEPRA LINK 2」、レイアウトの自由度も高く、フォントやビジネス用テンプレートの選択肢も豊富。なによりアプリのホーム画面からすぐに新規作成が始められるという、当たり前の操作が問題なくできることに加えて、過去に作成したラベルのデータもすばやく呼び出せるため、前回作成したラベルを少し変えて新しいラベルを出力したいというニーズには最適です。

筆者は前述の「Hello」のあまりの使いにくさに、本製品を購入して半年ほど放置していたのですが、こちらの「TEPRA LINK 2」に切り替えてからは、バリバリと活用できています。もともと「Hello」はそのテンプレートの内容からして応用編と言っていいアプリだけに、まずはこの「TEPRA LINK 2」から使い始めて、本製品に慣れるところから始めてみると良いでしょう。

なお、このスマホから使えるテプラPROシリーズは、この2023年1月に、エントリーモデル「SR-R2500P」が新たに発売されます。外見は本製品ほどスタイリッシュではなく、また対応テープの幅などで若干制限はありますが、本体価格は8,800円と安価ですので、これから購入を考える方はこちらも候補に入れておくことをオススメします。

作成したラベル。使い慣れたスマホでサクサク作れるので、大量のラベル作成も容易にこなせます

 

DATA

製品名:「テプラ」PRO(SR-MK1)
実売価格:11,820円
発売元:キングジム
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B08HLN39HY/

著者プロフィール

山口真弘
ITライター
PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など
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