フォントはデザインをするときの重要な要素の一つです。最適なフォント選びにはいつも悩みや苦労がつきもの。特に2つ以上のフォントを選ぶときは、相性の良いフォントを選ぶのに苦労すると思います。よくある場面としては「日本語フォントを選んで、それに似合う欧文フォントを選ぶ」などです。
そのときに、どんなフォントが合うのかな? と悩むのがフォント同士の相性を考えるきっかけだと思います。この2つ以上のフォントを組み合わせる行為を「混植」と言いますが、「混植」は思いのほか奥深く、またその使い方もさまざまです。ここでは、そんな「混植」の使い方と魅力を紹介していきます。
※本稿は、フロップデザイン著『混植の本 フォントのカップリングガイド』の一部を再編集したものです。
Chapter1 混植とは
●混植ってなに?
2種類以上のフォントを使って文字組みすることを混植と呼びます。日本語はひらがな、カタカナ、漢字、数字、アルファベットなど微妙に異なるデザインルールの文字が一つのセットになっています。そのため、例えばアルファベットだけ別のデザインにしても案外目立ちにくく、成立しやすいのです。またチラシなどでは数字だけを違うフォントにしていることがあります。このように、私たちが目にするデザインでは日常的に混植が含まれています。機能上の理由から利用する場合や、あるいはデザインをより魅力的にする場合に使用します。
混植を覚えることで、デザインが一段階よくみえる可能性があります。そしてそれは、とても楽しく、デザイン全般の理解にもつながります。
いろんなフォントを混ぜても成立しやすいのが日本語のおもしろいところ!
誌面に合わせてフォント全体の雰囲気を変えることも可能です。
- ▼Point
文字にこだわれば、デザインが一段階良くなる可能性があります。
●和欧混植とかな混植
「和欧混植」とは、わかりやすくいうと日本語フォントの欧文部分を他のフォントに変更することです。例えばよく使うヒラギノ角ゴシックの欧文をMr Eaves XL Modern Bookに変えると幾何学的でモダンな印象に変わります。タイトル以外でも横組みの雑誌などの本文で、しばしば見られるのが和欧混植です。主な理由としては以下があります。
① デザイン上の見栄え(日本語フォントの欧文が美しくない、差異を出したい)
② イタリック体の利用(日本語フォントはイタリック体にできない場合がある)
③ 合字やアクセント記号が無い日本語フォントの問題解決
「かな混植」とは通称ですが、日本語のかな(ひらがな、カタカナ)と漢字を組み合わせる混植のことです。またフリーフォントでは漢字部分がないフォントも多く、それを補うときにも使用します。
●従属欧文のナゾ
日本語のフォントに含まれる欧文のことを、一般的に「従属欧文」または「付属欧文」と言うことがあります。これは本来の欧文とは少し違った「日本語に合わせた欧文」という意味合いが含まれています。漢字・ひらがな・カタカナは正方形の枠に収まるようにできており、欧文も枠にできるだけ合わせるデザインが採用されていたからです。そのため「g」や「j」や「q」など下側がはみ出る部分が小さくされていたり、小文字の高さが高めに設定されていたりしていました。
近年は、本来の欧文らしい形が採用されることが多くなっています。日本語に寄せたデザインの欧文も良いですし、本来の欧文らしいデザインも良いです。混植でそれがどちらも選べるということが、すごく重要で意味のあることだと思います。
- ▼Point
従属欧文と普通欧文を、うまく使い分ければいいじゃない。
●混植に便利な合成フォントの使い方
混植を行ううえで便利なソフトはAdobeのIllustratorとInDesign。なぜなら、この2つのソフトには合成フォントという機能があるからです。この機能を使えば、簡単に混植が行えて一度作った合成フォントを保存できます。メニューから書式→合成フォントで作成することができます。
書式メニューの「合成フォント」をクリックするとダイアログボックスが開くので、「新規」ボタンをクリックします。「名前」(合成したフォント名)を入力します。個人で使う場合はどんな名前でも良いのですが、英数字のみを使用し「フォント名-(ハイフン)フォント名」などが最適です。例えば「UDShingoCond90-DIN2014Bold」などという名称が良いでしょう。
また、漢字、かな、全角約物、全角記号、半角欧文、半角数字はそれぞれ別のフォントを割り当てることができるほか、サイズやベースラインの調整も可能です。
「合成フォント」はサンプル表示が可能です。サンプル表示をみながらフォントのサイズやベースラインを調節します。多くの場合は欧文は大きめ、ベースラインは下げる方向に設定することになります。垂直比率と水平比率はほとんどの場合は変更不要です。サンプルは様々な補助的なラインの表示が可能です。またズーム可能なので、やや拡大して確認する方が良いです。
右下の「特例文字」では特定の文字を別のフォントにすることが可能です。よくある例としてはカギ括弧だけ細いフォントにするなどがあります。
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2024.10.04 Fri2024.10.11 Fri