フォントワークス株式会社の年間定額制フォントサービス「フォントワークス LETS」で、砧書体制作所の書体の提供が開始されました。広告の分野などのプロのデザイナーからも人気が高い「丸明朝体ファミリー」をはじめ、45書体が取り扱われています。
人気フォントを数多く手掛ける書体設計家
砧書体制作所は、1995年に設立されました。書体の制作者は、第2回石井賞三席、朝日広告賞入選、日経広告賞、雑誌広告賞、日本タイポグラフィー年鑑2010大賞など、多数の受賞歴を誇る片岡朗氏です。
2016年にカタオカデザインワークスから社名変更し、砧書体制作所となりました。片岡氏は砧書体制作所を運営する光伸プランニングの代表の原氏の義父にあたり、その縁からフォントベンダー事業を2022年に継承しました。
片岡朗氏が手掛けてきた書体には、「丸明オールド」や「iroha gothic」など、デザイナーたちに愛用されているフォントが数多くあります。今回、「フォントワークス LETS」や「学生向けフォントワークス LETS」、Webフォントサービスの「FONTPLUS」で、その砧書体制作所の書体の提供が新たに開始されました。それぞれのサービスの契約ユーザーは、追加料金を必要とせずに利用できます。
広告などで一世を風靡した「丸明オールド」
提供が開始されたフォントは、計45書体です。その中でも特に注目なのは、広告やパッケージなどで20年以上にわたって使われ続けている「丸明朝体ファミリー」でしょう。フォント自体の発表前にサントリー・モルツの新聞広告で使用されて大きな反響を呼んだ「丸明オールド」を含め、7種のフォントがあります。
「丸明朝体」は、明朝体ながらもエレメントに丸が用いられた柔らかな印象の書体です。見る人に温かみや懐かしさを感じさせ、筆の動きが強調された文字には躍動感もあります。
シリーズの7種は、かな文字が異なる書体として構成されています。「丸明オールド」のかな文字の骨格は、夏目漱石の「吾輩ハ猫デアル」初版本の覆刻版を下絵にしたものです。「丸明朝体」のひらがなとカタカナは活版印刷時代の書体の骨格をベースに作られていることが、懐かしさを感じさせる大きな要因となっています。
親しみやすいデザインも多い砧書体制作所の45書体
そのほか、「フォントワークスLETS」で使えるようになった砧書体制作所の書体には、12種の「iroha gothic」、3種の「砧明朝体」、6種の「丸丸ゴシック」、5種の「芯」、10種の「芯・鉛筆」、2種の「山本庵」があります。
日本タイポグラフィ年鑑2018で最高賞のグランプリを受賞した「砧明朝体」も注目の書体の1つです。「砧明朝体」は、“優しさ” と “間” をコンセプトとして設計されています。エレメントがどれも曲線で、尖ったところや角ばったところがないデザインが特徴的です。
もう1つ例を挙げると、「iroha gothic」は「漢字とかなは別の文字」という視点に立って設計された書体です。線は均一化が図られ、強さを出すために直線を意識してモダンに仕上げられています。ふところの広さで安心感が表現されているところも魅力です。
今回の砧書体制作所の書体の追加で、「フォントワークス LETS」で実現できる表現の幅がさらに拡大しました。
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「丸明オールド」などの砧書体制作所の書体はとても人気が高く、追加料金なしに利用できる「フォントワークス LETS」で提供が開始されたのは嬉しいニュースです。親しみやすい雰囲気の書体も多く、さまざまな媒体のデザインで活用できるでしょう。
フォントワークス株式会社/砧書体制作所
URL:https://lets.fontworks.co.jp/
URL:https://www.moji-sekkei.jp/
2024/05/29