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Illustrator定番&最新チュートリアル

2023.08.30 Wed

【Illustrator】図形を組み合わせて作るレトロなリソグラフ印刷風の文字

作例制作:dak 編集:山口優

Illustratorだけで、図形を組み合わせて表現した文字を作る方法をご紹介。リソグラフ印刷をイメージした作例で、長方形・円・半円を組み合わせ、乗算効果で色の重なりを出しています。レトロでかわいい色使いや、インクがかすれたような風合いもポイント。
*本連載はIllustratorで作る定番&最新グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。

■使用する機能「長方形ツール」「楕円形ツール」「直線ツール」「整列パネル」「パスファインダーパネル」「スウォッチパネル」「選択ツール」「透明パネル」「変形パネル」「複合パス」「ダイレクト選択ツール」「ラフ」「粒状フィルム」

1.文字の構成要素となる図形を描く

文字のベースとなる図形を描いていく。まずは新規ドキュメントを[幅:1200px]、[高さ:730px]、[カラーモード:RGBカラー]で作成したら、[塗り]を任意の色(ここでは16進数カラーコード[#009e9d]の緑)、[線]を[なし]に設定。長方形ツールでアートボード上を1回クリックして長方形ダイアログを表示し、[幅:80px]、[高さ:200px]で適用して縦長の長方形を描画する(図1)(図2)

図1。長方形ツールでアートボード上を1回クリックすると長方形ダイアログが表示され、指定した幅、高さの長方形を描くことができる
図2

同様に長方形ツールで[幅:80px]、[高さ:250px]の縦長の長方形を(図3)、[幅:130px]、[高さ:80px]の横長の長方形を描く(図4)

図3
図4

続いて、楕円形ツールでアートボード上を1回クリックして楕円形ダイアログを表示し、[幅:150px]、[高さ:150px]で適用して正円を描いたあと(図5)、直線ツールでshiftキーを押しながら横方向にドラッグして円の直径より長い線を引く(図6)

図5
図6。円の直径よりも長い横線を引く。線の色は何色でもOK。ここでは分かりやすく黒の線にした

選択ツールで円と直線を両方とも選択したら、整列パネルの[オブジェクトの整列:垂直方向中央に整列]をクリック(図7)。その状態のまま、パスファインダーパネルの[パスファインダー:分割]をクリックし(図8)、オブジェクトメニュー→“グループ解除”を実行する。これによって円が直線の上下で分割され、それぞれ別のオブジェクトとして扱えるようになる(図9)

図7。整列パネルの[オブジェクトの整列:垂直方向中央に整列]をクリックする
図8。パスファインダーパネルの[パスファインダー:分割]をクリックする
図9

さらに楕円形ツールで[幅:20px]、[高さ:20px]の小さな正円と(図10)、[幅:120px]、[高さ:120px]の大きめの正円を描いておく(図11)

図10
図11

スウォッチパネル下部の[新規スウォッチ]ボタンをクリックすると(図12)、新規スウォッチダイアログが表示されるので、右下の[#]の右横に緑色の16進数カラーコード[009e9d]を入力して[OK]をクリック(図13)。これでスウォッチパネルにカラーを登録できる(図14)。同様の手順で、新規スウォッチとして赤[ea5855]と青[486ab2]、黄色[eaaa55]を登録しておく(図15)

図12。スウォッチパネル下部の[新規スウォッチ]ボタンをクリックする
図13。新規スウォッチダイアログ右下の[#]の右横に16進数カラーコードを入力する
図14。新規スウォッチを登録すると、スウォッチパネルにそのカラーが追加される
図15。ここでは、緑、赤、青、黄色の4色を登録した

選択ツールで図形を選択してからスウォッチパネルに登録したカラーをクリックすると、その図形の色を手軽に変更できる(図16)。ここでは、図形を文字の形に組み合わせたときの見栄えをイメージしながら、スウォッチパネルに登録した4色を使って各図形を色分けしておいた(図17)

図16
図17

2.図形を組み合わせて文字を形作る

色分けした図形を組み合わせて文字を作っていく。まずは先ほど作成した図形を選択ツールですべて選択したら(図18)、透明パネルで[描画モード:乗算]に設定する(図19)

図18
図19。作成した図形をすべて選択し、透明パネルで[描画モード:乗算]に設定する

これによって図形を組み合わせた際、その部分の色を塗り重ねたような感じを出すことができる。この後の工程では、これらの図形をコピー&ペーストして使用する。

ここではまず、緑の縦長の長方形と青の横長の長方形を重ねて「L」の字を作った(図20)

図20。図形が重なった部分の色が混ざって、塗り重ねたような感じを出すことができる。なお、「L」の字を作ったあと、緑の縦長の長方形と青の横長の長方形を両方とも選択し、オブジェクトメニュー→“グループ”でグループ化しておくとバラけずに扱いやすくなる。以降も同様に、文字を作成後にパーツをグループ化しておくといい

次に、選択ツールで赤い半円を選択してコピーしたら、command+Fキー(Macの場合。WindowsではCtrl+Fキー)を押して前面へペーストする(図21)。続いて変形パネルの基準点のうち上辺の中央をクリックして選択したあと、[回転:225°]に設定して適用(図22)

図21。赤い半円をコピーして前面へペーストしたところ
図22。変形パネルの左上にある3列×3行の□が基準点。そのいちばん上の行の中央をクリックして選択したあと、[回転:225°]に設定する

続いて、回転した赤い半円の前面に小さな青の円を移動して重ねたあと(図23)、選択ツールで回転した赤い半円と青い小さな円の両方を選択し(図24)、オブジェクトメニュー→“複合パス”→“作成”を実行する(図25)。これで「e」の字が表現できる。

図23
図24
図25。複合パスを作成すると、図形が重なっていた部分は透明になって穴が開いた状態になる

さらに、緑の縦長の長方形と青の横長の長方形を重ねたあと(図26)、両方の長方形を選択して整列パネルの[オブジェクトの整列:水平方向中央に整列]をクリックし(図27)、「t」の字を表現(図28)

図26
図27。整列パネルの[オブジェクトの整列:水平方向中央に整列]をクリックする
図28

同様に図形を組み合わせて文字を作っていく。ここでは緑の長方形と、変形パネルで[W:130px]、[H:65px]に縮小した黄色の半円を重ねて「r」を作成(図29)。さらに先ほど作った「e」と「t」をコピー&ペーストしたあと、各文字を配置して「Letter」という言葉を表現した(図30)

図29
図30

3.図形を加工してより複雑な文字を作る

さらに文字を作っていく。まず、最初の工程で作成した青の横長の長方形をコピー&ペーストしたら、変形パネルの[長方形のプロパティ]の[縦横比を固定]をオフにし、[W:110px]、[H:50px]に設定して適用する(図31)(図32)。続いて半円の図形をコピー&ペーストして長方形を間に挟むようにざっくり配置したあと、これら3つの図形をすべて選択(図33)。その状態のまま、選択ツールで上の半円をクリックして選択する(図34)。これによって上の半円がキーオブジェクトに設定される。

図31。変形パネルの[長方形のプロパティ]の[縦横比を固定]をオフにして、[W:110px]、[H:50px]に設定する
図32
図33。3つの図形を選択する
図34。複数の図形を選択した状態で、選択ツールでいずれかひとつをクリックして選択すると、その図形のパスが太く表示される。これがキーオブジェクトとなる

続いて整列パネルの[整列:キーオブジェクトに整列]を選択したあと、[等間隔に分布:垂直方向等間隔に分布]を[間隔値:0px]に設定して適用する(図35)(図36)

図35。整列パネルの[整列:キーオブジェクトに整列]を選択したあと、[等間隔に分布:垂直方向等間隔に分布]を[間隔値:0px]に設定する
図36

次に、上の半円と長方形を選択して整列パネルの[オブジェクトの整列:水平方向左に整列]をクリックして適用(図37)。さらに、長方形と下の半円を選択したあと、選択ツールで長方形をもう一度選択してキーオブジェクトにし、整列パネルの[整列:キーオブジェクトに整列]をオンにした状態で、[オブジェクトの整列:水平方向右に整列]をクリックして適用する(図38)

図37。整列パネルの[オブジェクトの整列:水平方向左に整列]を適用した状態
図38。整列パネルの[整列:キーオブジェクトに整列]をオンにした状態で[オブジェクトの整列:水平方向右に整列]を適用する

これら3つの図形をすべて選択したら、パスファインダーパネルの[形状モード:合体]をクリックして合体させる(図39)。ダイレクト選択ツールでその内側をクリックすると蛇の目(○の中に●)のマークのライブコーナーウィジェットが表示されるので(図40)、shiftキーを押しながら図形の外側にあるふたつのライブコーナーウィジェットをクリックして選択する(図41)。マークが蛇の目から○に変わるので、いずれかのライブコーナーウィジェットを外側にドラッグすると両方の角が丸くなる(図42)。ここでは、最大限までドラッグして角を大きく丸めたあと(図43)、変形パネルで[回転:35°]に設定して確定したあと、[W:180px]、[H:250px]に設定して適用し(図44)、「S」の字を表現した(図45)

図39。3つの図形を選択した状態で、パスファインダーパネルの[形状モード:合体]をクリックするとそれらを合体させることができる
図40。蛇の目のマークがライブコーナーウィジェット
図41。ダイレクト選択ツールでライブコーナーウィジェットをクリックすると、蛇の目から太い○にマークが変わる
図42。ライブコーナーウィジェットを外側にドラッグするにつれ、角が丸くなっていく
図43。最大限までドラッグして角を大きく丸めている
図44。変形パネルで[回転:35°]に設定して確定したあと、[W:180px]、[H:250px]に設定する
図45

ここまでの手順を応用すると、さまざまな文字を作ることができる。たとえば、赤い縦長の長方形をコピー&ペーストして変形パネルで[W:120px]、[H:120px]に変更したあと(図46)、ダイレクト選択ツールで図形の内側をクリックし、左上と右上のライブコーナーウィジェットを選択して内側に最大限までドラッグして角を丸める。(図47)。これに赤い縦長の長方形をコピー&ペーストして重ねれば「h」の文字になる(図48)

図46
図47
図48

また大小の正円を中央で揃えて配置したあと(図49)、その両方の円を選択した状態でオブジェクトメニュー→“複合パス”→“作成”を実行し(図50)、緑の長方形を変形パネルで[W:80px]、[H:142px]に変形して重ねれば「a」を作ることができる(図51)

図49
図50
図51

「p」の文字は、先ほど作成した「a」の文字を流用して作る。緑の長方形を変形パネルで[W:80px]、[H:250px]に変形して、青い円を右側に重ねれば「p」を作ることができる(図52)

図52

ここでは、これらの文字を並べて「Shapes」という言葉を表現した(図53)

図53

4.配置や配色を整え質感をつけてロゴを仕上げる

ロゴを仕上げていく。まず、「Letter」と「Shapes」の文字を上下に並べ、必要に応じて各文字の位置や文字間を調整しておく。文字の天地が揃うように配置するときれいな見た目になる(図54)

図54。文字の天地が揃うように配置する

続いて、全体のバランスを見ながら文字の配色を整える。ここでは、色のバランスが偏って見えたので部分的にパーツのカラーを変更しておいた(図55)

図55

文字の配置や配色が調整できたら、すべての文字を選択してオブジェクトメニュー→“グループ”を実行し、グループ化しておく。その状態で効果メニュー→“パスの変形”→“ラフ...”を[サイズ:3px]、[入力値]、[詳細:30/inch]、[ポイント:丸く]で適用する(図56)(図57)

図56。[サイズ:3px]、[入力値]、[詳細:30/inch]、[ポイント:丸く]に設定する
図57

長方形ツールでアートボードサイズの長方形を描き、[塗り]を任意の色(ここでは16進数カラーコード[#efebd2]のクリーム色)、[線]を[なし]に設定する(図58)。続いて、この長方形が選択された状態で、オブジェクトメニュー→“重ね順”→“最背面へ”を実行する(図59)

図58
図59

再び長方形ツールでアートボードサイズの長方形を描き、[塗り]を16進数カラーコード[#999999]のグレーに、[線]を[なし]に設定(図60)。この長方形が選択された状態で、効果メニュー→“アーティスティック”→“粒状フィルム...”を選び、[粒子:20]、[領域のハイライト:0]、[密度:5]で適用する(図61)(図62)

図60
図61。[粒子:20]、[領域のハイライト:0]、[密度:5]に設定する
図62

続いて、透明パネルで[描画モード:スクリーン]、[不透明度:30%]に設定して適用し、ざらっとしたアナログ的な質感を加えれば完成(図63)(図64)

図63。透明パネルで[描画モード:スクリーン]、[不透明度:30%]に設定する
図64。完成ビジュアル

「文字の色だけでなく、背景色も変えてみると、がらっとイメージが変わります。ぜひいろんなアレンジを試してみてください!」とdakさん。以上、Illustratorだけで作る図形を組み合わせて表現した文字でした。

プロフィール

dak
グラフィックデザイナー
デザイン事務所に勤務後、2022年フリーランスとして独立。雑誌・広告媒体・パッケージデザイン・Webなどさまざまなデザインを制作。SNSで自主制作の作品を公開している。公式サイトhttps://dakdesign.myportfolio.com/work
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