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テクノロジー

自分の手書き文字を簡単にフォント化できる!フォントワークスの「AI JIMOJI」を試してみた

2023.05.30 Tue

手書き風のフォントはたくさんあるが、「自分の筆跡をそのままフォント化できたら良いのに」と感じる場面は多い。フォント化の手段は存在するが、高度な知識が必要であったり、手間やコストがかかりすぎたりと、なかなか気軽にチャレンジしにくいのが現状だ。

そこで今回注目してみたのが、フォントワークス株式会社が提供している「AI JIMOJI」サービス。同社がWeb上で「実験仮想都市」として運営している「MOJICITY」内のコンテンツの1つで、無料で利用することができる。

開発途中のアプリなど、フォントにまつわる実験的なコンテンツを数多く公開している「MOJICITY」

「AI JIMOJI」では、ひらがな46文字を手書きするだけで“世界に1つだけ”のオリジナルフォントの作成が可能。AIが活用されており、「ゃ」「っ」のような拗促音や「ば」「ぱ」のような濁音・半濁音の入力は必要ないが、自動的に補完されて生成される。

AIによる画像や文章の自動生成が盛り上がりを見せる近年。「書体」の分野にもAIが活用する日は近いのだろうか? 実際に「AI MOJIMO」を試してみて、その性能や使い心地を探ってみた。

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「AI JIMOJI」のWebページを開くと、シンプルな入力画面が現れる。操作は非常に簡単で、枠に合わせて1つずつ文字を手書きしていけばOKだ。「この文字は上手に書けていない」と気に入らなかった場合には「書きなおす」ボタンをタップ。46文字の枠を全て埋め、進捗状況が「100%」と表示されたら「送信する」ボタンを押す。

「AI JIMOJI」の入力画面。下部に進捗状況がパーセント表示される

フォントの太さは「ほそい」「ふつう」「ふとい」の3段階で選ぶことが可能。あとはフォントの名前(英数字のみ対応)を自分で決め、完成したデータを受け取りたいメールアドレスを入力して「フォントを生成する」を実行すれば作業は完了する。

生成されるフォントの太さも選べる

実際に体験してみて、何より驚いたのは自動生成のスピード。「完成したらメールで届く」という方式であるため、「次の日くらいには届けば良いな」と気長に考えていたが、あっという間に納品された。

あまりにも速すぎて驚いたため、再び同じ作業を繰り返して今度は時間を計測。「フォントを生成する」ボタンを押してから完成後のフォントが届くまでの時間は、わずか40秒ほどであった。もちろん環境・条件によっても速度に違いは出るのだろうが、このテスト結果には驚愕。「気軽に試してみやすいサービス」という印象がさらに強まった。

完成後に届くフォントのデータには、自分では手書きしていないカタカナや数字、アルファベットまで自動的に追加されている。通常のフォントと同様にパソコンにインストールして利用でき、文字サイズの変更なども自由自在。残念ながら漢字には非対応だが、さらに開発が進めば、いずれは漢字まで自動生成できる未来がやってくるかもしれない。

macOSの「Font Book」アプリで完成したフォントを表示させたところ。 
自分では書いていないカタカナなども補完されている

1つ気になったのが、「極端なクセ字はどこまで反映されるのか」ということ。実は筆者は「か」について、あまりにも一般的なものとはかけ離れた文字を書く。今回のテストでは、あえてその「変なクセ」をそのまま出してみた。その結果、自分で入力した「か」の文字はそのままであったが、「が」には悪筆が反映されず、現実の自分の文字とは異なる筆跡となった。

左が手書きで入力した「か」の文字で、中央が自動生成された「が」。 
筆者が自分のクセを残したまま「が」を手書きすると本来は右のようになる

現時点では「AI JIMOJI」は実験的に展開されているプロトタイプ版のサービスということもあり、このあたりは今後の進化も見守りたいところ。AIの特性上、さらに学習データが蓄積されればまた挙動が変化することもあるだろう。当然ながら「AIだからといって何もかもが完璧ではない」という教訓にもなる事象であった。

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いずれにせよ、本サービスがかなり便利で、未来への大きな期待を感じさせる技術であることは間違いなし。自分の筆跡のオリジナルフォントがあれば、気持ちを伝えるメッセージを簡単に書きやすく、バリエーションも作りやすく、修正もしやすい。興味を持った読者は、ぜひ試してみると良いだろう。

手紙やメッセージカードなど、さまざまな場面で活用できそうな「自分の筆跡」のフォント

フォントワークス株式会社 
URL:https://mojicity.jp/ 
2023/05/30

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