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トドオナダ、「インプレゾンビ」に関する興味深いレポート/ Webニュースの調査・分析を発表

2024.07.18 Thu

株式会社トドオナダが、2023年末から2024年6月までの「インプレゾンビ」に関するWebニュースを調査し、分析を発表しました。SNSでの円滑なコミュニケーションを妨げる「インプレゾンビ」について、興味深いレポートとなっています。

「インプレゾンビ」という言葉の意味

本調査には、4,000以上のWebメディアをモニタリング可能とされているPR効果測定サービス「Qlipper」が用いられました。約半年にかけて「インプレゾンビ」の存在が、社会にどのように認識されていったのかが探られています。

調査概要
調査期間:2023年12月21日(木)〜2024年6月20日(木)
※「Qlipper」の記事確認日時
調査対象:本文または見出しに「インプレゾンビ」の語を含む記事
調査方法:「Qlipper」が調査期間中に収集した国内主要ニュースサイトのWebニュースのうち、
調査対象の記事の数、“仮想PV” の数値、該当記事のURLを含むXでのポストの数を集計
“仮想PV” は「Qlipper」が取得したサイト構造をもとに独自のエンジンで記事のページビュー(PV)を予測・算出した数値

まず前提のおさらいとして「インプレゾンビ」は、現在では広く知られる言葉となっています。X(旧:Twitter)が閲覧回数(インプレッション)に応じて収益を分配する仕組みを導入して以降、閲覧される回数を増やそうとする試みは特に過熱化しました。情報の伝達ではなく、単に閲覧されることのみを目的とする “中身のない” 投稿やリプライを繰り返すアカウントが急増した印象です。

たとえば、バズった投稿に対して意味のないリプライをしたり、ほかの人のリプライをそのまま真似したり、トレンドになったハッシュタグを無関係な投稿に羅列して付けたりと、さまざまな手法が用いられています。実は、これらが全て本当にインプレッションの増加を目的としたものであるかの確証はありませんが、一般的に「恐らくそうであろう」と認識されています。

いずれにせよ、これらはどれも、あらかじめ想定されているSNSの本来の使われ方とは異なり、真っ当なコミュニケーションを求めてSNSを使っているユーザーにとっては迷惑な存在です。災害などの際にSNSがまともに機能せず、混乱が生じる恐れもあります。どこからか次々と現れる様子をゾンビに喩え、「インプレゾンビ」という名称が定着しました。

PR効果測定サービス「Qlipper」を使った調査

今回のトドオナダによる調査・分析では、「インプレゾンビ」という言葉が本文もしくは見出しに含まれているWebニュース記事は2023年末(調査は12月21日からスタート)には存在せず、2024年1月の能登半島地震の直後に増えたことが示されています。さらに、台湾地震のあった4月にも該当記事が増加しています。

「インプレゾンビ」の語を含む記事数・仮想PV・記事ポスト数の推移(月ごとの数値)

SNSなどでは実際には2023年内にも既に「インプレゾンビ」という言葉は使われていました。あくまでも「Qlipper」でのモニタリングによる「2023年12月21日以降のWebニュースの記事」の中では、2024年1月が初出という結果です。

とはいえ、この調査・分析では「インプレゾンビ」という言葉が「どのような状況で増えるか」ということ、さらに言い換えれば「どのような文脈で使われるか」を見てとることができます。やはり「インプレゾンビ」という言葉は、まず第一に “被災者のSOSや災害情報の発信を妨害する有害な存在” として報じられるケースが多いことが示されています。

一方、2024年3月にも「インプレゾンビ」という言葉を含む記事は増え、“仮想PV” もかなり高い数値となっています。これは、フリー素材提供サイト「いらすとや」に「インプレゾンビ」のイラストが登場したという話題などが大きく影響していたようです。ある意味で「平穏なニュース」と分析され、同時に「インプレゾンビが日常に定着したことを示す事象」であると考察されています。

「インプレゾンビ」の語を含む記事数の推移
「インプレゾンビ」の語を含む記事の “仮想PV” の推移

さらにレポートでは、「インプレゾンビ」に関連した各月の「トレンドワードランキング」も公開されています。そちらは単純に記事の数ではなく、時間軸なども踏まえてAIが判断した分析とのことです。

独自に算出された「インプレゾンビ」ニュースのトレードワンドランキング

忌避される存在となった「インプレゾンビ」

今回の調査・分析では、「インプレゾンビ」という言葉が使われた記事の中で、最も “仮想PV” が多かったのは、4月4日付の「ITmedia NEWS」の記事が転載された「Yahoo!トピックス」であるとも報告されています。この記事は、X上で意図せずに課金ユーザーである証明の “青バッジ” が付けられたという報告が相次ぎ、そのバッジは「インプレゾンビ」を想起させるため嫌がっているユーザーが多い、という内容でした。

また、最もXでポストされた記事には、3月21日の「AdverTimes」で公開されたコピーライター・メディアコンサルタントの境治氏によるコラム「ネット広告を良くしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。」が挙げられています。そちらの記事では「インプレゾンビ」がインターネットの環境悪化を招いた要因の1つとしてとらえられています。

* * * * * * * * * *

トドオナダの分析では、本調査をもとに「インプレゾンビ」という言葉が単なるインターネットの流行語という枠を超え、社会性のある問題として認識されていったことが分かった、と結論付けられています。SNSはもはや人々の生活に欠かせないインフラの1つとなったとも言えるため、特にX社には今後の効果的な対策が期待されるところです。

●トドオナダによる過去の調査レポート、広報・PRのお役立ち資料:
https://todo-o-nada.com/todoonada/whitepapers/whitepapers/

株式会社トドオナダ
URL:https://qlipper.jp/
2024/07/18

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