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信濃毎日新聞が発行した蕎麦に印字されている「そば新聞」が面白い!

2023.11.02 Thu

画像は「そば新聞」のイメージ。実際には茹でると文字は消える

信濃毎日新聞社は、2023年7月から「長所県長野県〜素晴らしき日々のそばに〜」プロジェクトを展開している。信濃毎日新聞が創刊150周年を迎えたことの記念企画。このプロジェクトで、非常に面白い取り組みが実施されている。

長野県の魅力を“長所”として発信するプロジェクト

この企画は、信濃毎日新聞の地元である長野県の魅力を日本中に広く発信する目的で開始された。プロジェクト名に「長所県」とあるように「長野県には、長所しかない」というメッセージが前面に押し出されている。

第1弾の取り組みでは、「長体新聞」の広告展開とともに、X(Twitter)で長野県の魅力を発信。10月に実施された第2弾の企画では、“信毎史上初”の試みとしてユニークな「そば新聞」が発行された。

長野県民の“郷土愛”のさらなる醸成を図り、県内外に魅力を発信するプロジェクト

縦に細長い変形文字を活用した「長体新聞」

第1弾の「長体新聞」では、極端に縦長に変形した長体文字を使ったデザインの広告が展開された。“長い”というポイントは、“長野”と“長所”の言葉に共通する“長”の文字から連想されている。

「長体新聞」は7月5日(水)に30段サイズの広告紙面として掲載され、プロジェクト名の「長所県長野県」という文字列が長体で表現された。実際のビジュアルを見ると分かりやすいが、一見すると何が書かれているのか分からないほどの比率で文字が変形されている。

「長体新聞」として掲載された“トリックデザイン”の広告

これは「視点を変えると内容が見えてくる」というメッセージも暗に表現したもの。横向きにレイアウトされていることも相まって、正面から見るとまるで複雑な図形のように見えるが、新聞の紙面を回転させて縦向きにし、上から徐々に視点を下に変えていくと「長所県長野県」の文字がはっきりと見えるようになる仕掛けだ。

より見やすい方法としてカメラでの記録も紹介。スマホで上から録画して徐々に視点を下げていくと、さらに分かりやすくなるという。

“より文字が見やすい”として紹介されている方法

ちなみに、「新聞」という媒体のデザインでは、通常は文字組みに横長の“平体”が用いられることが多い。その意味でも、“長体”を活用した第1弾の新聞広告は、非常に独特で印象深いものであった。

SNSでの長野県の長所150選の発信

第1弾の取り組みとして「長体新聞」とともに実施されたSNS企画では、創刊“150”周年にちなみ、150点もの長野県の長所が継続的に紹介された。「信濃毎日新聞デジタル」のXアカウント(@shinmaiweb)で実施され、10月18日(水)の投稿をもって見事に150件を達成。そのタイミングで、全150個の長所を一挙に掲載した特設サイトでのまとめも公開されている。

全150個の長野県の長所も一挙にチェックできる本プロジェクトの特設Webサイト
URL:https://ad.shinmai.co.jp/cyousyo/

ピックアップされた“長所”には、「みんなで食卓を囲む時間が日本一長い。つまり日本一家族が仲良し。」「カーネーション出荷量日本一だから、長野県は母の日の母。」「走ることを飛ぶという。つまり、走る姿はみんな天使の可能性。」「バッタ入りのソフトクリームを作る長野県人は、常識を超えていける逸材揃い。」など興味深いものが並ぶ。「運がいい日は山持ちの友達が松茸をくれる。」といった微笑ましいものも多く、“ちょっと強引”なものも含まれてはいるが非常に楽しい内容だ。

第2弾の取り組みの「そば新聞」がすごい!

そして、これらの第1弾のユニークな取り組みに引けを取らず、第2弾ではさらに大きなインパクトを与える企画が実施された。それが、長野県の名産である蕎麦に印字を施した「そば新聞」。上記の150選から抜粋された長野県の長所が、蕎麦に載せて発信された。パッケージへの印字ではなく、蕎麦そのものへの印字である。

細長い蕎麦に食用インクで文字を印刷

1つのパッケージに、印字された蕎麦の麺は15本含まれている。食用インクで印字されているため、通常の蕎麦と変わらず茹でて安全に食べることができる。残念ながら茹でると文字は消えてしまうが、それでもこの工夫のインパクトは絶大だ。「そば新聞」は1部あたり2,000円(税込)で、長野県内の信濃毎日新聞長野本社や信毎メディアガーデンのほか、東京都内にある銀座のアンテナショップ「銀座NAGANO」(東京都中央区銀座5-6-5)でも販売された。

可食印刷であるため蕎麦は普通に食べられる(画像はイメージで実際には茹でると文字は消える)

10月18日(水)に発行された信濃毎日新聞の本紙では、「そば新聞」のパッケージを長野県の長所(150選から抜粋)とともに広告として掲載。新聞の本紙とも連動した大々的なアピールで、さらに長野県の魅力や楽しさが伝わってくる企画となった。

10月18日(水)発行の信濃毎日新聞の本紙での30段広告

今回の例でも分かるように、可食印刷と呼ばれる「食べられる印刷」は、大きなインパクトを与えやすい特殊印刷だ。近年では家庭用のフードプリンタなども続々と登場しており、比較的に身近な印刷技術にもなってきた。特に今回の「そば新聞」は、しっかりと“長野県の魅力のアピール”というコンセプトに沿った仕掛けで、印刷技術とビジュアルと企画がぴったりはまっている優れた「デザイン」の例と言えるだろう。


信濃毎日新聞株式会社
URL:https://www.shinmai.co.jp/
2023/11/02

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