オフィス潜入リポート「こんなオフィスで働きたい!」
第4回 アドビ システムズ株式会社(Adobe) 前編
後編はこちら>>第4回 アドビ システムズ株式会社(Adobe) 後編
クリエイターにとってマストなアプリケーションを提供しているアドビ システムズ(以下アドビ)。DTPの時代を切り拓いた後も、DTV、Web、インタラクティブ、モバイルと時代のニーズに合わせて、常に変革を遂げ、クリエイターとともに歩み続けている。そんなアドビの日本法人、アドビ システムズ株式会社のオフィスにおじゃました。
●アドビ システムズ株式会社
パルアルト研究所にいたジョン・ワーノックとチャールズ・ゲシキ が1982年12月に設立。設立当初、アップルをはじめとするプリンターメーカーにページ記述言語(Post Script)を供給。Illustrator、Photoshopをはじめ、クリエイターに求められるアプリケーション、Flash、DreamweaverなどのWeb技術のほか、AcrobatやConnectといったビジネスで利用されるアプリケーションを提供している。本社は米国カリフォルニア州サンノゼ市、日本法人であるアドビ システムズ株式会社は、東京都品川区大崎に所在。
http://www.adobe.com/jp/
JR大崎駅より徒歩3分、ゲートシティ大崎にあるアドビ システムズ
白壁とウッドを基調にデザインされたエントランス。サイドにはアドビを代表するアプリケーションのロゴを映し出したオブジェ
アドビシステムズ株式会社のフォントデザイナーが米国のパテントを取得したことを示す盾。クリエイティブ関係のアプリケーションのみならず、実はフォントに関しても先進的なアドビらしい一面がのぞける部分
エントランス付近には、製品パッケージがズラリ。よく見るとPhotoshopのパッケージには、初代開発者のThomas Knollのサイン
このツヤツヤした細身のお姉様はどなた? と思ったらタレントの林家パー子さん。Photoshopによってスーパーモデル化されたそうな。詳細はこちら(http://dekimaga.jp/sp/)
「ルパン三世」でおなじみの漫画家、モンキーパンチさんもアドビのアプリケーションの熱心なユーザーさん
数多のメディアより評価されてきた証である賞状とトロフィー。特にPhotoshopは、Web制作やデザイン、映像といった分野に留まらず、写真の世界でも高い認知度を誇る
CS5のパッケージに使用されたアートワーク。ミーティングルームにて。社内のいたるところで、こういった展示がされている
日本とサンノゼの本社を結んでのテレカンファレンスも日常的に行われるため、天井にはマイク、本社スタッフの姿が映し出されるプロジェクターも完備。多くのミーティングルームがこうした装備を備えている
今回お話を聞かせてくださった広報部長の平尾正裕さん。背後にのぞくのは、パッケージのイメージのアートワーク。社内のミーティングルームにて
人とアイデア、人と情報のかかわりを、変革する
──アドビの始まりは、ページ記述言語(Post Script)の開発だったそうですね。
●創業は1982年、コンピュータに映し出される文字と画像を、その通りの形で美しく印刷するための技術「PostScript」を開発したのがはじまりです。それをアップル社のスティーブ・ジョブスが、アップルのプリンター「Laser Writer」に採り入れたいと提携を申し出たことを追い風に、成長してまいりました。もしも、これが提携ではなく買収になっていたら、われわれはアドビではなくアップルになっていたのかもしれませんね(笑)。
──さらに追い風となったのは、DTP関連のアプリケーションの登場ではないでしょうか。
●そうですね。アドビにとって最初のアプリケーション、Illustratorが生まれたのが1987年、続いてPhotoshopが90年。すでに20年が経ちます。アドビの理念は「人とアイデア、人と情報のかかわりを、変革する」です。DTP革命を起こした次は、DTV、続いてインターネットと、常に歴史の中で重要な役割を担うアプリケーションを提供してきました。
──2005年には、DreamWeaverやFlashを擁するマクロメディア社との統合も遂げました。
●アドビにとってFlashは、どうしても欠かせない技術だったのだと思います。かつてはアルダス社を買収し、PostScriptの次に必要となるDTPソフトPageMakerを手に入れましたが、いずれも、その時代のユーザーが求める技術を獲得するためのアクションです。
──アドビがクリエイターに多いMacユーザーとなじみが深いのはもちろんですが、Acrobat ReaderやFlash Playerなどを考慮すると、Windowsユーザーとも密接な関係がありますよね。
●Flash Playerに関しては、ネットワークに繋がっているPCの実に98パーセント以上に搭載されているそうです。Acrobat Readerのユーザーは6億人以上、Web上で流通しているPDF書類は1億6000万点以上と、膨大な規模です。ただ、PDFに関しては、最終ファイルの閲覧に使用されるだけのケースがまだまだ多いようですね。我々の製品の強みはOSに依存しないというところです。編集者の方は、Macで当社のクリエイティブツールやAcrobatを使って制作、校正をされます。一方ビジネスユーザーはWindowsマシンでそれらのアプリケーションを利用されます。それぞれのワークフローを分断せず利用できるというわけです。
(取材・文:立古和智 写真:原祥子)
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