第3話 厳しい現場でデザインを学ぶ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて
転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第10回 株式会社 dig 村上 享さんの場合


株式会社digのクリエイティブチーム・チームリーダーの村上享さんがパソコンに出会ったのは、ちょうど10年前、高校1年生の頃だ。高校の情報技術科コースでコンピュータの基礎やプログラミングの知識を3年間みっちり学び、卒業後はゲーム制作の仕事を目指し日本電子専門学校・コンピュータグラフィックス科に進学。しかし、ゲーム会社は狭き門。就職活動の合間に行っていたWeb制作会社でのアルバイトで、いつしかアルバイトをまとめるリーダー的な立場になったのをきっかけに、そのまま就職することとなる。その後、デザイン会社、大企業での派遣を経験するうちに、よりクリエイティブに没頭できるような会社を探し求め、出会ったのが株式会社dig。現在は、弱冠26歳にしてクリエイティブチームのチームリーダーとして活躍中だ。そんな彼に、これまでの軌跡、そして現在の仕事について、お話を伺ってみました。


第3話 厳しい現場でデザインを学ぶ

──学校を卒業して1年半。第二新卒としての転職活動はいかがでしたか。
村上●Web制作の仕事で探していたのですが、正直言ってそれまでの経験だけでは、なかなか採用してもらえる会社が少なく大変でした。書類でNGとなることも多かったです。それはそうですよね、一からデザインした経験がほとんど皆無でしたから。それで派遣でも構わないと思って登録しにいった直後に、それまでに面接に行ったある会社から内定をもらうことができました。

──今度はどんな会社だったのですか。
村上
●女性向けのファッション系通販サイトを主にやっている会社で、コーディングというよりはグラフィック勝負の会社でした。いちおうデザイナーとして採用され、制作チームのリーダーの下にアシスタントとして就くことになりました。


──初めてのデザイナー職ですね。
村上●はい。初めはわからないことばかりで……ちょっとしたバナーを作るのに一週間くらいかかってました。自分でやってみて初めて、文字の組み方、スペースの空け方にひとつひとつ意味があるんだということを痛感しましたね。それまでデザインの基礎をまったくやっていない状態だったので、この会社でかなり鍛えられました。アシスタントとして就いていた上司のデザイナーが、本当に怖い存在だったんですよ。徹夜しても怒られるし仕事が遅くても怒られるし……本当に厳しい環境でした。


──現場で叩かれながら、デザインの基礎を覚えていったわけですね


村上●そうですね。半泣きになるようなこともありましたけど、その怖かったリーダーのおかげで、今の自分があると正直思うんです。クオリティの高い物を目指して最後まで妥協しない姿勢の人だったので、学ぶことは多かったですね。本当にこわかったけど(笑)。

──こうして振り返ってみると、村上さんがデザイナーになろうと思ったタイミングはいつだったのでしょうか。
村上●これという境目はないんですが、入社して1年後に自分が手がけた広告ページが雑誌に掲載されて世の中に出たことによって、自分自身でデザイナーになったのかなと実感するタイミングはありました。

───印刷用のグラフィックデザインを手がけたのは、初めての経験だったのでは?
村上●そうです。女性向けの通販広告ページでした。商品数も多く、撮影のロケハンをしてラフを描いて、細かい情報や部分アップの写真など多くの要素をうまくまとめつつ、女性の購買意欲をそそるようなデザインを目指さなくてはいけなかったので、初めは仕上げるだけで精一杯でした。

───その後、さらに村上さんは転職をすることになるのですが……?
村上実はその怖い上司ともうひとりの上司が揃って辞めてしまい、その後、自分がその通販サイトの管理を任せられそうになったんです。でも、自分はひとつのECサイトを作り上げていくよりは、いろんなWebサイトをデザインしたいと思うようになっていたので……最終的には辞退して会社をやめることにしたんです。

───次の転職はどうされたのでしょうか。
村上いろいろなWebサイトを作る経験を持ちたかったのと、スーツを着るような一種“サラリーマン”にちょっと憧れて(笑)……ある総合電機メーカー系のシステム制作会社に派遣で行くことになりました。実はその後まもなく、派遣という雇用関係に自分が向いてないなということに気がついて、10ヵ月ほどで契約を終了することになるのですが……。


(取材・文:草野恵子 撮影:栗栖誠紀)


株式会社 dig
http://www.dig.co.jp/
設立11年目を迎える株式会社dig。企業イメージの最適化・最大化を目的として調査・立案からWeb構築・運用、各種プリントメディアのグラフィックまで、トータルなイメージコンサルティングをきめ細かく行っている。2005年にはクライン ダイサム アーキテクト設計によるスタイリッシュな自社オフィスを建設、撮影スタジオの運営も行っている。


ぴあ株式会社「チケットぴあ」Eコマースサイト

http://t.pia.jp/

株式会社日比谷花壇「HK-Wedding」ブランドサイト

http://www.hk-wedding.jp/

株式会社サンエー・インターナショナル「ジル スチュアート」ブランドサイト

http://www.jillstuart.jp/

次週は「第4話 クリエイティブな環境を求めて」についてお届けします。



twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在