第9回 Phase4 アイデアを成長させる - 思考するWebディレクション | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第9回 Phase4 アイデアを成長させる - 思考するWebディレクション

2024.9.8 SUN

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Phase 4 アイデアを成長させる

アイデアの逆転発想法で
幅を広げる

ここまで企画につなげるアイデア発想の方法として「ありそう」、「ありそうにない」という二通りのアプローチを紹介してきた。しかし、これだけではまだ生まれたアイデアの足固めができておらず、企画として弱くもろい。スキをなくし、より魅力的に、より効果的な企画にするためにアイデアをブラッシュアップする方法を紹介しよう【5】。
企画力に優れた人が共通して使っている定番の手法に、ひとつのアイデアの発想を逆転させることで別のアイデアへと変化させる、というものがある。たとえば、ひとつのアイデアが生まれたとしよう。良しあしを判断する前に、逆を考えてみる。さらに考えるプロセスから生まれたアイデアに対しても、また逆を考えてみる。これを繰り返すことで、ひとつのアイデアから派生した全方向の集大成が出来上がる。この逆転発想法は、アイデアを360°の切り口から見極め、アイデアの幅を広げ、スキをなくして改善するブラッシュアップ術になる【6】。

親切と不親切を
切り替える発想法

ここで、もうひとつアイデアを成長させる手法を説明しよう。アイデアの“親切”、“不親切”を切り替える手法だ。Webサイトのナビゲーションが、ユーザビリティに配慮した親切なものであることは当然と考えるかもしれないが、あえてそれを不親切なものにしてみる。不親切というと語弊があるので、“難易度を上げる”と言い換えてもよい。世の中には難しい設定にすることで、関心を惹き、誘導を成功させるナビゲーションやインターフェイスも存在する。ユーザーの多くは、「不親切=困難」であるがゆえに興味と集中力を増し、ゴールにたどり着こうとするはずだ。TVゲームやミステリー小説などはあえて“不親切な”謎解きの構成にすることで、読み手の関心を先まで引っ張っていく。すぐに装備やアイテムがそろい、ボスを倒せてしまうRPGゲームではつまらないし、すぐに謎が解けてしまうミステリー小説に魅力はない。Webには効率的かつ使いやすさの実践が理想だと考えがちだが、一度あえて複雑でめんどうなものにしてみよう。「不親切なもてなしの設計」こそがブラッシュアップすべきポイントなのだ【7】。

もっと磨き上げていける
Webコンテンツのアイデア

最後にWeb制作現場に身を置き、Webディレクターとして仕事をする筆者の正直な意見を述べておきたい。今回、Webでのアイデアの発想というテーマを扱ったわけだが、Webコンテンツが現状のレベルで「おもしろい」、「すごい」といった高い評価を受け、メディアに取り上げられていることに疑問を感じる。それは筆者自身がかかわるWebサイトでも同様で、具体的にどのWebサイトがそうだ、ということではない。アイデアはもっと磨き上げられるはずだ。アイデアを派生させ、ブラッシュアップすることでスキをなくし、その集大成を企画としてまとめ上げる。そのために思考し続けられる人こそが、Webディレクターの理想像といえるのではないだろうか。

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【5】効果的な企画にするためにアイデアをブラッシュアップする

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【6】逆転の発想は、アイデアのスキをなくして強靭なものとする手法といえる

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【7】不親切なもてなしの設計にもメリットは生まれる

Column Webディレクターのアイデアを広げるワンポイントコラム

【更新頻度はマーケットの有無を示す指針】

本文中でアイデアを補助するための資料収集、つまりリサーチについて触れた。そのひとつとしてWebサイトの更新頻度で見えてくるものがある。そのWebサイトがどの程度更新されているかで、与えている効果が判定でき、対象分野のマーケットが活性化しているかどうかが見てとれるのだ。ここで、個人運営のブログを例に取ろう。だれも見てくれなければ、更新を続ける意欲は起きないだろう。しかし、だれかが見ている可能性があれば、続ける価値を見いだせる。更新頻度とはWebサイトの存在価値を測る目安なのだ。Webサイト側が仕掛けたマーケティングによってユーザーは来訪し、更新頻度に比例して利用時間も増える。情報が段階的に伝わることでユーザーの購買意欲が増し、実際のアクションを起こすまでに至る。クライアントの競合他社や隣接業種の企業が頻繁にWebサイト更新をしていれば、そこには必ずマーケットが存在し、知識と意欲を持ったユーザーが潜在している可能性が高い。あとはアイデアをもって、Webサイトに何かしら仕掛けを施していけばよいのだ。

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